八木山橋 撮影:株式会社東北記録映画社
今の八木山橋が完成したのは、昭和40年4月のことです。
以前は「吊り橋」で、ゆらゆら揺れる橋でした。
当時の写真は、当社のホームページに掲載しています。
条件付きで一部クルマが通行できた時期もありますが、
昭和30年代は、橋の老朽化が原因でクルマは通行できませんでした。
現在の八木山橋は、
高さ70メートル/長さ117メートル/幅8.6メートルです。
現在の八木山橋は、昭和37年から3年をかけ、
約1億5000万で建設。
足場を設けないデビダーク方式という、
日本で2番目、当時の最新技術で建設しました。
耐震構造はしっかりしており、伸縮する継ぎ手で揺れを受け止めて、
コンクリート橋に亀裂が入りにくいようにしています。
八木山橋の下には、竜の口渓谷があります。
この渓谷は、植物や貝の化石が多く、
小学校の行事でも使われている場所です。
この付近の層は、
下から「竜の口層」「向山層」「大年寺層」「青葉山層」と
なっており、化石は、一番下の「竜の口層」から多く出ます。
この「竜の口層」は、約550万年前は海でした。
その時期から海が次第に陸地に進入し、
「竜の口海」に推積して出来た海域の地層が「竜の口層」です。
「竜の口海」は、仙台平野・石巻、北上川上流を上り、
岩手県の花巻まで広がっていました。
しばらくすると海が引き、平野になりましたが、
付近で火山の噴火が起きてしまい、大森林を火山灰が飲み込みます。
この火山灰で出来たのが、広瀬川ぎょう灰岩部層と呼ばれる
「向山層」です。
「竜の口層」と「向山層」の境目は、
博物館付近の追廻住宅、テニスコート付近にある橋の高さという
ことだそうです。
この「竜の口渓谷」が出来たのは、1万5000年前。
竜の口沢と、広瀬川の洪水の濁流によって出来た
「滝」で造られました。
滝壺が連続したような深い連続した
谷になっているのは、このためです。
現在もその滝は、小さいですけど残っています。
1万5000年前よりも、後退していますが、
八木山橋から3キロ上流部にあります。
この滝で、渓谷が出来たわけです。
八木山橋完成当時は、現在のような橋の形になっておらず、
昔の吊り橋の時代から「自殺者」が絶えなかったと聞きます。
ありがたくない名所の名前になっているところもありますが、
昭和46年に金網を追加したり、ガードの形を変えたりと、
いろいろ手を打っています。
自然の神秘と融合して出来た「竜の口渓谷」。
日本の中でも、大都市の中で美しい渓谷を見ることが出来る場所は、
そうありません。
本来、完全の「観光地」となって良い場所です。
写真の通り、紅葉時期には美しい風景が広がります。
よく、「なぜ橋のところにバス停があるの?」という
掲示を見ますが、「観光地」として存在したい場所なんです。
県北の「鳴子峡」などもそうですよね。
紅葉の時期などはたいへん混雑する場所です。
そうなってもいい場所、大都市で日本一近い?大渓谷が、
この「八木山橋」「竜の口渓谷」なんです。
★★★