2010年07月14日

八木山エリアの 下水道

★★★




八木山エリアの宅地造成などが始まった昭和40年代。


初めの頃は色々な問題が「山積み」でした。


何もない状態からの宅地ですので、当然と言えば当然なのですが、

中でも大きな問題の1つが「下水道問題」です。



八木山エリアに早く住んでいた方は、苦労をしたと思います。


若い方などは、ピンと来ないのではないでしょうか。



下水道は、仙台を舞台にした映画「ゴールデンスランバー」でも注目されました。


下水道管は、「トイレの配水など」で使用する「汚水管」と、

雨水を処理する「雨水管」の2種類があります。



IMG_1052.jpg

  
八木山本町1丁目



雨水管とは、その名の通り、「雨水」を流す下水道です。


写真にある左側の、いわゆる「どぶ川」などもそうですが、

マンホールにも記載されている「雨水」と記載されている下水管の行き先は、

「川」です。


八木山小学校の界隈ですと、金洗沢川などへ雨水は集まり、

そして下流側へ流れ、名取川や広瀬川などへ放流されます。



問題は、トイレや生活排水などの「下水管」です。


これが八木山にはありませんでした。



開発早期の頃、浄化槽を用いた水洗トイレも普及していましたが、

そのほとんどが、「汚水が川に垂れ流し」という状況が多くありました。



IMG_1197.jpg

   
青山・二ツ沢エリア付近




簡単に言えば、雨水しか流れていない「どぶ川」に、

トイレなどの汚水も流れていたという状態です。



これが当時の八木山エリアだったのです。



さらに、今の若い世代の方には縁がない、もしくは知らない、

浄化槽がないエリアは、

各家庭のタンクにトイレ排水が溜められている、

汲み取り式の「ボットン便所」と呼ばれるトイレでした。



下水に流れるわけではなく、各家庭のトイレ直下に、溜められていました。

若い方などが、この状態がよく知らないそうですね。


田舎のおばあちゃんの家が、今でもそうというパターンはあると思います。


大体2ヶ月に1度、バキュームカーに汲み取りに来てもらうものです。

その料金が、約5000円くらいだったでしょうか。


この汚水・汚物を汲み取りに来てくれる「バキュームカー」があった光景は、

当時は当たり前でした。



なぜこういう状態だったかと言えば、

八木山開発当時、八木山には汚水を処理する「下水道管」がなかったからです。



この衛生的ではない状態が八木山エリアにはあったため、

町内会でも、昭和40〜60年代にかけて、

仙台市にずっと陳情し続けていました。




ちなみに、下水管があるとどうなるかと言えば、

「下水管によって、下水処理場に運ばれ、綺麗にして川に放水、

 もしくは水洗トイレ用水、工業用水、修景用水などに再利用」されています。


各家庭の中のトイレに悪臭は出ず、街も清潔になり、

川も下水処理場によって、綺麗な水が放流されますので、

魚や植物などで川も綺麗になるわけです。




八木山南エリアを除く、八木山エリアの下水管工事は、

いつ開始されたか知っていますか?




本格化したのが昭和55年です。



まずは、下水処理場まで運ぶ「主要幹線」の工事から開始されます。



ちなみに、秋保などを除く太白区の下水を処理する下水処理場は、

宮城野区にある「南蒲生浄化センター」です。


仙台市内の80%の下水処理を、ここで行っています。



まず、この「南蒲生浄化センター」まで下水を運ぶために

主要幹線の下水管工事をしなくてはなりません。



八木山エリアは、昭和55年から開始されました。



向山エリアの一部、緑ヶ丘、青山、松が丘、桜木町エリア等の下水管、

「二ツ沢幹線」からスタートしました。



この「二ツ沢幹線」が昭和59年に完成すると、

このエリアの、各家庭側の下水管工事、いわゆる「枝線」工事がスタート。



「二ツ沢幹線」工事が完了すると、

本町・八木山東エリアなどの「金洗沢幹線」工事が、

昭和59年よりスタートします。



大きな工事ですので、予算も含めて「二ツ沢幹線」と「金洗沢幹線」が

同時進行できなかったようです。



「金洗沢幹線」は、昭和63年付近に「本町二丁目」界隈で

地権者との話し合いがあり、

本町二丁目の下水管整備が、八木山では一番遅かったようです。



平成3年に完成、「枝線」工事も進められました。



下水管処理が八木山エリアでほぼ完成したのが、

平成3年頃と言うことになります。



「幹線」が完成し、各家庭への「枝線」が完成すると、

各家庭への「トイレの水洗化」が地域住民に求められていきました。




同時に、「下水道料金」が各家庭に課金されてきたのが、

この時期からと言うことです。


「えっ、うちの下水道にはメーターがついているのか?」と

思われた方もいるかもしれませんが、

正確には、使用した水道の水が、

そのまま下水として流れていると考えられているので、

「水道使用量」=「下水道使用量」となります。


水道代に含まれている、と考えたほうが、正しいかもしれません。


水道料金と一緒に徴収されているので、

「下水道料金」を払いながらも、

払っていることに気付いていないという人も、多いと思います。



汲み取り式の方が、下水代としては安かったかも知れませんが、

「綺麗」になるためには、「下水管」ほど助かるものはありませんね。





ちなみに下水管には、

汚水と雨水が完全に分けられている「分流式下水道」と、

汚水と雨水を一つの下水道管で流す、「合流式下水道」が採用されています。



八木山エリアを含む大半のエリアは、分流式なのですが、

仙台市中心部は「合流式」なんですね。



これは、下水管整備が早く始まった場所に見られるのが「合流式」なんです。


全国でも中心部は大半が下水と汚水の「合流式」です。



晴れている時は問題がないのですが、

最近多いゲリラ豪雨などが降ると、

雨水の吐き口から、河川に下水が流れ出るような仕組みになっています。



「分流式につくりかえたら」いいのでしょうが、

合流式下水道区域の全ての道路に、下水道管を「入れ直す」ことになり、

お金も時間もかかる上に、交通量や地下埋設物(水道、ガス、電力など)が多い

大都市中心部では、現実的ではないようです。




現在、普通にトイレや洗い物をして排出している「下水管」


有り難みも知らずに生活していますが、

下水管がなかった時代を知る八木山住民は、かなり多いです。



若い方に、特に知ってもらいたい今回のテーマの記事です。



よく料理をする時など「油は流さないで」と言われますが、

理由は、この下水管が詰まってしまう訳です。


しかも、「幹線」ではなく、各家庭に行っている「枝線」です。


ご自分で自爆することにはなりますが、

油は下水道管で固まり付着しやすくなりますので注意して下さいね。




今回は、八木山エリアの下水道をテーマにお送りしました。






★★★






posted by 八木山取材班 at 22:56| 宮城 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 八木山放送局NET | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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