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「まちづくり」をゲームに例えてみるとします。
スーパー、商店、病院、公園、緑地、学校、飲食店、飲み屋、
コンビニ、クリーニング店、バイク/自転車店、
役所、銀行、郵便局・・・そして住宅地。
八木山ほどのスペースがあるとして、
皆さんは、どのような「まちづくり」にするでしょうか?
ゲームと考えると、「自分が住みやすいような形」に
するのではないかと思います。
これを年代別に作ってもらうとすると、
個人個人の造り方はあるにせよ、年代別にだいぶ差が出ます。
「最低限、必要な施設/店」などがあって、
「別に必要じゃないな」という店や施設が出てきます。
例えば酒を飲まない人にとっては、
「飲み屋さん」を造ることはないでしょう。
バイクを乗らない人は「バイク店」を造らないでしょう。
「静かな町」を好む人にとっては、
「うるさくなる」と思われる店を造りません。
「人が多い賑やかな町」が好きという方は、
スタジアムとかイベント会場の施設、
ショッピングセンターなどの商店施設を
並べるという手法をとるでしょう。
そのような「ゲーム盤」のような見方をしながら、
「仙台市」を見てみましょう。
まず「太白区」と「泉区」です。
県外からの転勤、引っ越しなどで「家を買う」「賃貸で住む」
という場合になった人たち、特に働き盛りの
20代後半から40代の方々。
そのような方々が、比較的多く住むという現状が多い立地が
「太白区」「泉区」と言われています。
太白区のキーポイントになる立地が「長町界隈」です。
ザ・モール長町仙台を含むショッピングモール界隈、
そして長町商店街、発展が待たれる「あすと長町」を
融合した「長町ショッピングエリア」。
この界隈で、ある程度一通り揃うという立地。
もう一つ「ショッピング」で加えると、
この長町を中心点と見た場合、
この「長町エリアで揃わない」という商品は、
「長町の近隣エリアで全て揃う」という点です。
そして仙台市で、現在では3箇所しか存在しない
JRと市営地下鉄の2つが通る「2ウェイ立地」という点。
この状態は、泉中央駅を中心とした「泉区」でも同じような
状態を見ることが出来ます。
国道4号線も近いことから、泉区中心部の外エリアで
何でも揃うという立地です。
長町エリアと違う点は、「2ウェイ立地」ではないこと、
おおざっぱに見て、このくらいです。
そして「青葉区」。
現在盛り上がっているのが、仙台駅から西側地区、
「愛子・栗生エリア」です。
付近にJR仙山線、国道48号線での仙台駅までの
距離が約10キロ地点です。
住民数もパンク近い状態にある感じもあり、
要因にもなっているのが、
「栗生西部土地区画整理組合」が整地したエリアの存在。
大型店舗が誘致されいて、ホームセンターやドラッグストア、
生協、レストラン、TSUTAYA、ゲオ、携帯電話ショップ、
100均、西松屋、パチンコ屋など、
それこそ「何でもござれ」の立地になっています。
現代のゲーム盤の見本か? という立地の代表例がここです。
当然、住宅も誘致/販売され、完売状態です。
今の30代〜40代が好む立地の代表例ということでしょう。
そのために「学校」もパンク状態で、
錦ヶ丘に新しく学校が出来るまでになっています。
ただ、弱点もあります。
ほとんど何でも揃うエリアですが、完全に揃うわけではありません。
揃わない場合、中山方面までクルマで登る必要があるという点が
あります。
どちらかというと「孤立・隔離」感もあるでしょう。
さらに「風が強く、冬季は寒い」という状態もあります。
「八木山エリア」をゲーム盤として見た場合、
他のエリアに存在していないものが、
「八木山動物公園」と「八木山ベニーランド」です。
そして緑が多い立地などの他に、
以前から記載しているように、
「仙台市中心部」と「長町エリア」に5キロ圏
ということ。
さらに5年後の地下鉄東西線の存在。
「んじゃ八木山も、現代人が好むショッピング界隈を建てればいい」
と思う方も多いと思いますし、
ディベロッパーがマンション建設を狙っている節もあります。
ただ、現代の「まちのつくりかた」は、
「似たり寄ったり」というまちづくりが多いんです。
「そのエリアならでは」というのがないんです。
別にここに住まなくても、あっちでも良いじゃない?
という選び放題の立地が多く、
それこそ福島県や岩手県にもある風景、
そういう感じが多いですね。
仙台市ガス局付近の「東仙台エリア」では、
ケーズデンキさんを含めたショッピングエリアが完成、
さらに道路網も整備され、かなり便利な立地になりました。
付近には、高齢化で深刻化している「鶴ヶ谷団地」も
ありますので、何らかの起爆剤になると思います。
失礼な話になりますが、先ほどの「栗生エリア」、
「栗生エリアといえば、なに?」という質問で、
「ならではという」答えが見つからないエリアです。
東仙台エリアのショッピングエリアも含めて、
全国的に見ても「似てる造り方」なんです。
逆にこの造り方は「敷地がないと出来ない」という
特徴もあります。
住宅地があるエリアでは、住宅か無くならないと
出来ない方法です。
これが、現代の「地域を造り上げる代表的な造り方」です。
特に「女性の主導権」という点もあると思います。
男性は仕事に出ていますので、
「その地域に住む」ということは、
「男性」よりも「家にいることが多い女性」が
「その地域に長く住んでいる」という事になります。
地域のいろいろなことにも、
「女性・主婦の方が支えている」ということも
多いんです。
その代表的なモノが「家庭内の買い物」という
事になるのでしょう。
今やクルマを持っている奥さんも多いと思いますが、
それでも「すぐ近く」に越したことはありませんよね。
以前からこのサイトでも取り上げているように、
「キーポイントは、女性目線」ではないかと思います。
八木山エリアはどうでしょう?
皆さんがこのゲーム盤を造るとしたら、
特に若い世代は「ショッピングエリア」を
造ろうとするでしょうか?
60代以上の方は、自然を守る・公園を作るなどの
「現状維持に近い」造り方を、
「若者を誘致しづらい」立地を造りますか?
それぞれ「長所」もありますが、
造ると「失うモノ」もあります。
それが「新しくつくること」ですので。
取材班の知人が、言ったことがあります。
「八木山エリアに地下鉄が来ることになってしまって、
発展せざる得ないエリアになったが、
地下鉄が来なかったとして、何もしなければ、
50年後は昔の「住宅地のない山」に戻っているのではないか。
少子高齢化で人が減っているので、
必ずどこかで「消滅するエリア」が出てくる。
八木山を自然の山に戻すというのも、
ひとつの手段ではないか。
今後、何もしないエリアは消えていくんだと思う。」
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2010年11月16日
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「八木山に地下鉄なんていらないと思っています」
このような意見、実は「いる」という方より
「いらない」という意見の方が遙かに多いことは
取材班でも把握しています。
このサイトで、八木山全域で取材していますので、
「盛り上がっているのは、一部だけ」
ということが分かりましたし、
「地下鉄に期待していない」という意見が圧倒的です。
地下鉄前の通りを「買い物エリアに」という構想が
役所から出ているのですが、
これも「流行るわけがない」という意見が多数です。
実はこのサイトでも、「反対意見」テーマにした記事も
準備しています。
ただ「見えない圧力」も見え隠れしてきましたので、
取材班から見ると、
10年後の八木山エリアはだいぶ変わっているのではないかと、
今の段階では予想できます。
住民が反発しても着工されてしまう「現実」が、
八木山エリアで始まった気がします。